当院での取り扱いピル
1. 低用量ピル (経口避妊薬)について
低用量ピルとは、女性ホルモンであるエストロゲンと黄体ホルモンを含み、避妊効果を得られるようにエストロゲンの量を最低限まで抑えて副作用を少なくした薬です。正しく服用することで女性ホルモンの働きを利用して排卵や子宮内膜の増殖を抑制し、92%以上の避妊効果を得ることができます。また、生理に伴うさまざまな不快症状の改善も期待できます。生理不順や生理痛が重く日常生活に支障がある方は、ぜひ一度お気軽に当院までご相談ください。
服用方法: 1日1回1錠を決まった時間に服用します。
21錠タイプは服用後7日間休薬し、28錠タイプは休薬期間なく続けて服用します。
2. アフタ-ピル(緊急避妊薬)
アフターピルとは、避妊に失敗した際に性交から72時間以内に服用することで、妊娠を防ぐ効果が期待できる薬です。普段から避妊を意識していても、ピルの飲み忘れやコンドームの破損など、予期せぬ事態は起こりえます。アフターピルの避妊効果は高いですが、服用までの時間が経過するほど効果は低下します。そのため、なるべく早い段階で当院にご相談ください。
3. 黄体ホルモン剤
こちらは女性ホルモンのエストロゲンを含まない、黄体ホルモン(プロゲステロン)のみを成分とした単独ホルモン剤です。タイを含む海外では、低用量ピルに比べて血栓症のリスクがほとんどないことから広く使用されており、これが黄体ホルモン単独剤の大きなメリットとされています。このため、低用量ピルを服用できない喫煙者の方や片頭痛のある方でも使用可能で、授乳中の方にも安心してお使いいただけます。剤形には、経口薬のほか、筋肉注射・皮下注射・皮下インプラント・子宮内装着型などがあります。
当院では経口タイプの黄体ホルモン剤としてジエノゲストをご用意しています。主に子宮内膜症や月経困難症の治療に使われておりますが、毎日同じ時間に服用することで同時に約90%の避妊効果も期待できます。筋肉注射タイプの黄体ホルモン剤としては、デポプロベラをご用意しています。いわゆる“避妊注射”と呼ばれるもので、3カ月に1回、三角筋または臀部の筋肉に注射を行います。避妊効果は約97%と高く、生理が重い方やPMSでお悩みの方にも、副効用として症状の改善が期待できます。黄体ホルモン剤の副作用として最も多いのは不正出血ですが、多くは軽度です。身体がホルモンに慣れるにつれて、6カ月以内には不正出血が減少する傾向があるので貧血の心配もありません。また、副作用として体重減少も挙げられますが、食生活が大きく変わらなければ心配するほどではありません。避妊を希望される方や生理不順でお悩みの方は、ぜひ一度お気軽に当院までご相談ください。なお、皮下インプラントタイプの黄体ホルモン剤は二の腕の内側に装着することで約99%という高い避妊効果を3年間維持できる方法です。ご希望の方はまず当院にご相談ください。
| ピルの種類 | 効果・メリット | 副作用・注意点 |
|---|---|---|
| 低用量ピル | 避妊効果(92%以上) 生理痛の軽減 PMSの緩和 月経量の減少 ニキビや肌荒れの改善 子宮内膜症の改善 卵巣・子宮体癌発症リスク低下 | 吐き気 頭痛 乳房のはり 下腹部痛 むくみ 不正出血 ごくまれに血栓症や肝障害 |
| アフターピル | 避妊失敗時の緊急対策 高い避妊効果(性交後72時間以内) | 吐き気 嘔吐 頭痛 時間経過するほど効果低下 |
| 黄体ホルモン剤 | 血栓症のリスクが低い 授乳中の方にも使用可能 経口薬のほか注射などの剤形あり | 不正出血 頭痛 下腹部痛 めまい 体重増加 骨粗しょう症リスク(長期使用時) |
4. 服用できない方
| ピルの種類 | 服用を避けるべき方 |
|---|---|
| 低用量ピル | 原因不明の不正出血がある方 高血圧の方 前兆を伴うひどい片頭痛の方 乳がんや子宮体癌の疑い、または治療中の方 妊娠中や産後6週間以内の方 授乳中の方 35歳以上で喫煙されている方 |
| アフターピル | 妊娠中の方 重度の肝障害がある方 重度の腎障害がある方 重度の心疾患がある方 |
| 黄体ホルモン剤 | 妊娠中の方 重度の肝障害がある方 重度の腎障害がある方 重度の心疾患がある方 |
監修:大垣 りこ 医師(土曜日勤務)












