一般的にはバリウムをお勧めします。バリウムで異常があった際には、胃カメラが医療保険の対象となるため自己負担が少なく胃カメラを受けることができます。バリウムで異常と診断された経歴がある人は、同じ結果となることが多く、結局は胃カメラ検査を受けることとなる可能性が高いため、初めから胃カメラを選択することをお勧めします。胃がん検診の苦痛を避けて受診しないという人には、せめてABC検診を受診することをお勧めします。35歳未満の場合は胃がんになる確率が低すぎるため、胃がん検診の実施はお勧めしておりません。
胃部X線検査(バリウム):バリウム(造影剤)と発泡剤を飲み、レントゲン(X線)撮影により表面を観察する検査です。バリウムやABC検診で異常と診断された経歴がない人に特におすすめです。
【メリット】あまり苦しくない、日本の厚生労働省が推奨する胃がん検診、スキルス性胃癌に対しては胃カメラよりも診断が容易である場合がある
【デメリット】バリウムで便秘になりやすい、微量に放射線を浴びる、異常が発見されたときは胃内視鏡検査を受ける必要がある、食事の制限が12時間は必要
スキルス性胃癌:他のタイプの胃癌と比較して、若年性胃癌と言われ若い方に多く、腹膜への転移(腹膜播種)を起こしやすく非常に進行が早いのが特徴です。日本人に多い胃癌で、日本人の胃癌全体の約10%を占めます。そもそも胃癌が少ない若い方に多いに関わらず、高齢者まで含めた全体の10%を占めますので、60歳未満の若い方は特に注意したい胃癌です。
胃内視鏡検査(胃カメラ):口から先端にカメラ(内視鏡)のついたチューブを入れ、内部を観察。バリウムやABC検診で異常と診断された経歴がある人、胃カメラが補助対象である人、最も精度の高い検査を希望される人におすすめです。
【メリット】内部を直接観察するため小さな病変を発見しやすい、粘膜の一部を採取し確定診断が可能
【デメリット】検査費用が高額、麻酔を使うため車の運転など控える必要がある、麻酔からの覚醒に時間がかかるため所要時間が長い、鎮静剤(全身麻酔)なしでは苦しい、食事の制限が12時間は必要
ABC検診:胃・十二指腸潰瘍の主な原因と考えられているヘリコバクター・ピロリ菌の抗体価検査と胃粘膜萎縮(老化)マーカーのペプシノゲン検査とを組み合わせて、胃がんリスクをABCの3群に分類します。 効率的に検診を行う胃がんリスク検診です。バリウム胃カメラが苦手な人、35歳以上に関わらず苦痛を避けるために胃がん検診を避ける人、ピロリ菌検査をしたことが無い人におすすめです。
【メリット】検査費用が最も安価、健康診断の採血を使った検査(なにも苦痛な検査が増えない)、食事の制限がない(別の血糖値の検査で4時間は必要)、現在の状態だけでなく今後の胃がんリスクを知ることができる
【デメリット】ピロリ菌の除菌歴がある場合は向かない、企業によって補助対象ではないことがある、異常が発見されたときは胃内視鏡検査を受ける必要がある